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企業・学生双方にWIN-WINの採用時期を探る

企業・学生双方にWIN-WINの採用時期を探る

〜12回目を迎えた倫理憲章の意味を考える〜

「最終面接後に、内定の連絡が来た人はいますか?」「内定いただきました。一生懸命頑張ります」−−昨年11月、09年度就職活動情報交換サイトの掲示板に、そんな書き込みが踊った。書き込んだのは、大手製薬メーカー研究開発職の志望者たちだ。卒業まで約1年半だが、彼らの進路はすでに決まりつつある。彼らほどではないにしても、他業界や文系学生の採用現場でも「09年度については説明会を前倒しにする」「他社の動き次第だが、採用増の企業も増えており、早期化は避けられない」という見方が支配的だ。

一方で去る10月中旬、今回で12回目を迎える「新規学卒者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」が、日本経済団体連合会(日本経団連)から発表された。今回から新たにタイトルおよび本文に「大学・大学院」と明確に示し、採用選考の早期開始−−とりわけ、卒業・修了学年に達しない学生に対しての実質的な選考活動の実施−−の自粛について、より具体的に求める内容となっている。

企業にとって、08年度よりもさらに厳しくなる09年度新卒採用はどう動くのか。そして、企業および学生にとって望ましい採用選考スケジュールとはいつなのか。本特集では、倫理憲章の意義を振り返りつつ、現状をリポートする。

 

新・倫理憲章は院生も対象に

 後期を迎えたキャンパスで、学内説明会や業界研究会のスケジュールが貼り出され、オープン間もない就職情報サイトのトップページに業界・企業研究セミナーの告知が並び始めた10月16日。「2008年度大学・大学院新規学卒者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」が、社団法人日本経済団体連合会(日本経団連)から発表された。

 これまで、新規学卒者の採用選考における企業側のあるべき姿勢を示し、紳士的かつ良識ある対応を呼びかけてきた倫理憲章だが、2008年度(09年度入社予定対象)の発表とともに採用の現場に戸惑いが広がった。従来にない内容が盛り込まれていたからである。

 2007年度(08年度入社予定者対象)までの倫理憲章のタイトルは、「新規学卒者の採用選考に関する企業の倫理憲章」であったのに対し、今回は「大学・大学院新規学卒者等の採用選考に関する企業の倫理憲章」と変わったのだ。同時に大学院卒の採用活動についても、学部生と同じく年度明けに行うことを勧告する内容となったのである。

 この違いが、特に技術系採用として院卒定期採用を行っている大手メーカーに波紋を広げた。従来の倫理憲章では、修士課程修了予定者については「その他」の項で取り上げられ、「大学院修士課程修了予定者の採用選考においても学習環境の確保に十分留意する」と示されただけで、望ましい採用選考時期についての具体的な提示はなかった。

 ところが、今回ははっきりと「大学・大学院新規学卒者等の採用選考にあたり、下記の点を十分配慮して行動する」とした上で、「卒業・修了学年に達しない学生に対して、面接など実質的な選考活動を行うことは厳に慎む」と、春休み以前の修士生の選考抑止を明文化したのである。今回の変更は、人材獲得競争がより激しく、年々学部卒より1カ月以上前倒しで進む大学院卒採用の早期化に歯止めをかけることにある。



突然の変更に戸惑う採用現場


 院卒は例外−−そんな認識を突然拭い去ってしまった新・倫理憲章だが、発表されるや否や「これでは、到底賛同することはできない」という声が採用現場からあがった。特に、先陣を切って採用選考を進める製薬業界を中心とした薬学系の修士卒、研究開発職採用の現場では、大きな戸惑いを見せる企業が目立った。

 「ここ2、3年、薬学系の研究開発職の採用選考は年内にほとんどが終了する。つまり、10月末には応募が締め切られ、11月いっぱいに選考を進め、12月前後には内定が出るというのが一般的なスケジュールです。今回の新しい倫理憲章が発表になったのは10月中旬。この時期ならば、どこの製薬業界もすでにエントリーを締め切り、説明会や採用選考の案内を学生に告知している時期です。すでに走り出した状況にストップをかけても、止めるのは無理でしょう」と語るのは、製薬業界で採用業務を経験したことのあるA氏。事実、今年も同様のスケジュールで選考が進み、すでに内定の声も聞かれるのは冒頭で触れた通りだ。

 「薬学生を採用ターゲットにしている会社は、学部生の採用でも憲章通りに新年度を待つのは難しいのではないでしょうか。実は今年就職活動を迎えた学生は、薬学部の4年制から6年制への移行期直前の卒業になります。薬剤師の国家試験受験資格条件が、6年制修了者へと移っていくのですが、その前に4年制として最後の受験を迎えるのが今の3年生、つまり09年春の卒業生なのです。

ところが6年制の初めての卒業生を迎えるには、12年春まで待たなければなりません。すなわち、2年間の新卒の空白期間ができてしまうわけですから、ぜひとも今回の新卒採用で人材を確保しておきたいとどこの企業も必死です。そのためには、早い時期から母集団を集め、他社に遅れをとることなく選考を進めていくことが必要になります」(前出A氏)
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