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大学生の就職事情変遷史


大学生の就職事情変遷史


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※この記事は人と採用2005年11月号「大学生の就職事情変遷史」の内容を一部抜粋しています。
第一志望への就職割合と企業への満足度の関係
 自社への興味・関心を深めてもらうための仕掛けの進化は、近年目を見張るものがある。採用ホームページは学生に自社を印象付ける重要なツールとなっているが、採用選考とは切り離して開催される「オープンセミナー」(就職イベント)も忘れてはならないだろう。
 いくらWeb上で豊富な情報を掲載していても、残念ながら多くの学生はそれをじっくり読み込むことはしない。ホームページで企業理解が進むことを期待しすぎると肩透かしを喰う。それは多くの企業が経験済みのことだろう。そこで登場したのが、オープンセミナーだ。学生にまだ時間的な余裕のある早期に直接会って、自社に対する興味を喚起し、同時に業界・企業理解を促進させるのがその目的だ。社風、会社の方向性、仕事内容等をできるだけリアルに想像できる機会を学生に提供するのだ。
 こうしてインターネットの弱点でもある「深い理解」を補う手立てとして、オープンセミナーは、いまやすっかり定着している。
 インターネットとオープンセミナー。この2つの登場により、学生の入手できうる情報は飛躍的に増えた。学生の選択肢はこの10年で確実に広がっている。
 それを端的に語るデータが、本調査にある。就職を決定した企業に対する就職活動当初の志望度である。
 1995年は「第一志望の企業だった」が42.4%だったのが、2005年には27.3%に減っている。その代わり、「志望していなかった企業」が2.8%から16.0%へと大きく増加した。もし、2005年がまだ就職氷河期であったなら、就職環境が厳しくて苦戦した結果、希望もしていなかった企業に決めざるをえなかった、不本意就職者が増えただけではとの解釈も成り立つ。しかし、いまや時代は売り手市場に変わった。しかも、本調査によれば、その就職先企業に対する満足度が下がっているわけでは決してない。就職先への満足度は一貫して9割を超えている。
 現在の学生は活動当初から第一志望だった企業に就職を決めているわけではなく、就職活動中に出逢った企業の中から就職先を決め、依然満足している――。就職先への当初志望度のこの変化から、学生は就職活動をしながら積極的に視野を広げていっていることが十分読み取れる。企業が学生に提供する情報、採用広報の戦略はますます重要性を増しているといえる。
総括キーワードでみる1995年と2005年
 このように学生の就職活動を数値で比較してみると、10年で様々な変化が存在していることに改めて気付かされる。この10年の、学生を取り巻く就職環境を確認しておこう。
表1 日本新卒採用計画
 まずは「日経新卒採用計画」。上場企業および日本経済新聞社が独自に選んだ有力な非上場企業4,000社あまりを対象とし、採用計画の前年度比伸び率を求めたものだ。1995年に就職活動をした学生、すなわち1996年3月卒者の採用計画は、総合計で8.0%減、大卒計でも1.6%減。これに対し、2005年(2006年3月卒者)のほうは、総合計20.4%増、大卒計では23.9%増と、大幅な伸びを示している。簡単に言ってしまえば、買い手市場に向かっているのが1995年、売り手市場に向かっているのが2005年、となる。
 両年は明らかにトーンが異なり、2005年の就職環境の明るさが際立っている。しかしながら本調査によると、学生自身が感じる就職難易度は逆に厳しくなっている。1995年は余裕派(「思っていたよりもかなり楽だった」+「思っていたよりも少し楽だった」)が32.9%、苦労派(「思っていたよりもかなり苦しかった」+「思っていたよりも少し苦しかった」)が41.8%だったが、2005年は余裕派が23.0%へと約10ポイント減少し、苦労派が57.3%へと約15ポイント増加している。
 あくまで学生の主観に基づく指標だが、興味深いデータではある。
 原因はいくつか考えられる。まず、買い手から売り手へと市場の地合が転換するなかでも、企業側はハードル(採用基準)をそう下げるに至っていない可能性がある。また、エントリーシートが普及したこともあるだろう。エントリーシートは、もともとはマスコミで多く使用されていたが、1997年頃からマスコミ以外の企業でも徐々に使われるようになり、現在は一般的な選考材料となっている。事実上の一次選考と位置付ける企業が多く、その先の面接試験等に進むため学生はエントリーシート記入にかなりの労力を裂かざるをえない。その負担の大きさが、苦労派増加に繋がっていると考えられる。
 また、インターネットやオープンセミナーの登場で、学生が入手できる情報の量は大幅に増えた。その選択肢の多さから、逆に迷いが生じ、戦いにくくなっている。情報戦の困難さだ。
 先にも確認したが、就職活動の各プロセスを行う時期が特に決まっていないことも就職難易度上昇の一因になり得る。
 以前は皆にあわせて流れに乗っていればよかったのが、今ではいつ何をするか、いつから就職活動をスタートさせるかは個々の学生の判断に委ねられている。より主体性が求められているのだ。
 ほかにもあるかもしれないが、いずれにせよ就職活動で揉まれる学生が増えたことは確かだ。社会への登竜門としての機能は、より強固になっているといえる。


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