
最初に就職活動フローを確認したい。学生の活動時期の目安となるものを6項目ピックアップしてみた。各項目とも3本の折れ線グラフで表記し、それぞれ過半数に達した時期を矢印で示している。
まずは「就職を意識し始めた時期」からみていこう。1995年は「12月前半」が最も多く、「12月後半」に過半数に達している。2000年は「11月前半」から「12月後半」にかけて多く、過半数の時期は「12月前半」。一方、2005年は「9月以前」が最も多く、就職をかなり早くから意識している層が増えた様子がわかる。過半数に達するのは「11月前半」だ。1995年に比べ、1カ月半早い。
次に「資料請求・エントリーのピーク時期」をみると、1995年の過半数到達時期は「3月前半」でこの時期に集中している。2000年は「2月前半」、2005年は「2月後半」で、2005年のほうが半月遅い。
「会社説明会・セミナー参加のピーク時期」が過半数に達するのは、1995年は「5月後半」だが、2000年「4月前半」、2005年「3月前半」と、かなり早くなっている。1995年と2005年とでは、2カ月半も差が開いている。また、1995年は「5月後半」を頂点とする鋭い山を形成しており、この時期に説明会やセミナーが集中していたことがわかる。2000年、2005年とも山がなだらかになっており、時期が分散している。
「面接・筆記試験のピーク時期」は、各年で過半数到達時期と山の頂点とが一致しており、選考試験はある程度集中して行われていることが読み取れる。1995年は「6月前半」だったが、2000年には「4月後半」へと早まり、2005年にはさらに半月早く「4月前半」となっている。
残りの2つは内定時期だ。
「初回内定時期」の1995年の過半数到達時期は「6月後半」。当時、就職協定では会社訪問解禁は7月1日、選考開始は8月1日前後を目標とすると定められていたので、いわゆる「青田買い」をされた学生が相当数みられたことがうかがえる。協定がいかに形骸化していたかが、如実に表れている。
協定廃止から4年目の2000年は「5月前半」、2005年はさらに早まって「4月後半」となっている。
最後に確認するのは「就職先企業からの内定時期」だ。1社内定を得た時点で就職活動をやめた場合、これは「初回内定時期」と同じ時期を回答することになるが、内定取得後も活動を継続して他社からも内定が出た場合、多くは後の企業を選ぶ。いわば「本命企業」だ。だから、「就職先企業からの内定時期」は当然遅くなる。
1995年は「7月前半」に過半数に達するが、「6月後半」から「7月後半」までほぼ同じ数値で推移している。この間に約8割が就職先企業から内定を得ていた。
2000年は「5月後半」に、2005年は「5月前半」に過半数に到達している。2005年は山が大きく2つに分かれており、「4月後半」と「5月後半」と、ほぼ同じ数値。その谷間に過半数に達した格好で、「4月後半」時点で早くも4割を超えている。
活動フローだけでなく、活動量も確認してみよう。
「資料請求・エントリー社数」「会社説明会・セミナー参加社数」「面接・筆記試験の受験社数」「内定取得社数」の4項目だ。年ごとの平均数を重ね棒グラフで表してみたところ、その特徴が一目瞭然となった。「会社説明会・セミナー参加社数」は20社前後、「面接・筆記試験の受験社数」は13社強、「内定取得社数」は約2社と、10年の時を経てもそう変わってはいない。しかしながら、「資料請求・エントリー社数」はどんどん社数が減っており、1995年の116.0社から2005年の47.5社へと、実に6割も減少している。
2005年において資料請求・エントリーと会社説明会・セミナー参加のピーク時期がほぼ重なっていることと、資料請求・エントリー社数が極端に減ったこと。この両方の現象の理由を考えた場合、学生の就職活動プロセスそのものが変化したとみるのが自然ではないだろうか。就職を意識してから本番を迎えるまでの活動内容、つまりは情報収集の仕方が変化したと考えられる。

情報収集の仕方が変わった最も大きな要因は、やはり1995年当時の就職活動シーンには見られなかった「インターネット」の登場だ。インターネットが就職活動ツールとして一般化した(=学生の利用率が9割を超えた)のは1999年。インターネットはわれわれの生活、ビジネスのスタイルに大変革をもたらしたが、同様に就職マーケットの世界にも多大な影響をもたらした。
企業がインターネットを採用手法に取り入れる以前は、学生は次のようなプロセスをたどって選考に進んでいた。すなわち、【1】就職を意識 【2】就職情報誌等で興味ある企業を発見 【3】資料請求ハガキを送付 【4】会社案内・入社案内等のパンフレットを入手(企業研究) 【5】セミナーの案内が届く 【6】セミナーに参加(企業研究) 【7】選考試験に申し込む――。少なくとも、この時期は資料請求ハガキを書いて出す時期、この時期は届いたパンフレットを読み込む時期、この時期はセミナーに参加する時期…と、各プロセスを行う時期はある程度決まっており、順序立ってもいた。
一方、インターネット導入後のプロセスはこうだ。【1】就職を意識 【2】就職情報誌だけでなく就職サイト等で興味ある企業を発見 【3】興味をもった企業のホームページをチェック(企業研究) 【4】それで興味をもったらエントリーし、セミナー告知が載っていれば申し込む 【5】セミナーに参加(企業研究) 【6】会社案内・入社案内等のパンフレットを入手(企業研究) 【7】選考試験に申し込む――。
最大の違いは、各プロセスを行う時期が特に決まっていない点だ。インターネットで随時企業の詳細を知ることができるため、資料請求・エントリー行為とセミナー参加とを同時期に並行して行うことができる。たとえ採用ホームページがまだオープンしていない場合でも、新卒者を採用するような企業であれば、企業ホームページそのものは大抵整備してあるので時期にとらわれることはない。そうして情報を収集した結果、興味が深まった企業にだけエントリーをする。これならば、1995年に比べ2005年の資料請求・エントリー社数が6割も減少するのもうなずける。
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